明るく豊かな社会の実現という、創成期においての目的は達成されていると考えます。戦後の混乱期における国際情勢の不安定、国内の経済の脆弱さを憂いた時代における、豊かな社会という意味では。それは青年会議所の先輩諸兄によって連綿と受け継がれたJCの使命感による功績であります。今の時代の問題は復興期とは違い、成熟した社会における様々な問題を抱えています。社会課題は複雑化し、細分化され深刻化しています。そんな時代だからこそ大胆に事を興す青年の存在こそが必要です。

次代のJAYCEEに明るく豊かな社会は実現されたと言われていることを切に願う。

【平成の終わりと新たな時代の幕開けに】

 昨年7月6日に発災した平成30年7月豪雨では各地に大きな爪痕を残し、多くの命が犠牲になりました。これは今に始まった問題ではないと考えます。昨今50年に一度、100年に一度、過去最高など様々な表現で更新される災害が毎年のように日本を襲います。世界に目を向けてみてもその傾向は10年前に比べて強くなっています。気候変動は間違いなく起こっており、地球の環境破壊は進んでいます。2015年12月にパリ協定が調印され、京都議定書よりもさらに環境に対する意識が高まる中、我々は何をしていかなくてはならないでしょうか。
 世界に目を向けると、トランプ政権の誕生後、情勢は混沌としてきていると感じます。秩序の地殻変動が起きているのではないでしょうか。ナショナリズムの台頭で世界に非寛容が広がりつつあります。イギリスのEU離脱は大きなニュースとなりました。世界各地で起こっているテロも利己的心理による保護主義によるものです。今世界では民主主義の根幹が揺らぎつつあります。私たちはこの危機をどのように乗り切ることができるでしょうか。それは国家間の寛容性であると考えます。それはJCの発足の趣旨である国際の友情にこそあるのです。
 世界は小さなコミュニティの集合体で出来ています。だからこそ地域が真剣に考えることが大切で、重要なのです。そのコミュニティに目を向けてみると地域の接点はテクノロジーの普及で希薄化している気がします。それはSNSの登場により発信力が格段にあがり世間とのかかわり方や概念が変わってきていることが一つの要因であると考えます。それは決して悪いことだけではなく、情報発信コストの低下がもたらす経済効果は大きなメリットをもたらします。しかしながらその技術革新は使い方を誤ると我々の脅威となってしまいます。携帯、タブレット端末、パソコンなどのデバイス上でのコミュニケーションは実際のコミュニケーション能力を阻害しかねません。AIの情報の選択と集中は自分の好みの情報のみが積極的に反映され、それ以外の情報は削除されるリスクをはらみます。世界は急速に進み、IoTやAI、その先のシンギュラリティへと続き、世界の科学者でさえ先を読むことは難しいです。そんななかヒトはどのように生きていけばよいのでしょうか。そこには創造する力を養うことが必要になってくると考えます。
 2019年度岩国青年会議所はそれらの社会課題に真剣に向き合い、来たるべきパラダイムシフトに備えるための学びと行動を大胆にやってのける青年の勇気と英知を存分に発揮いたします。

【地球市民の感覚】

 地球は温暖化しているのでしょうか。これは環境問題の専門家においても議論を呼んでいて、科学的根拠は定かではありません。しかしながら国連ではSDGs(持続可能な開発目標)が2015年に採択され2030年までに達成すべき17のゴールのなかにゴール13を掲げています。それは「気候変動に具体的な対策を」です。この問題は先進国はもちろん発展途上国にも課せられる重大な開発目標です。今世界中では深刻な気候変動が起きていることは疑う余地がありません。日本だけでなく世界中のいたるところで干ばつや洪水が起こり、生命の危機にさらされている現実があります。昨年起こった西日本豪雨災害は甚大な被害と数百名の尊い命をいとも簡単に奪っていったのです。私たちは各国の事情を一度忘れて、地球市民として環境について考えていく岐路に立ったと思います。世界に目をやるとフランスをはじめイギリスが2040年までにガソリン車全廃の宣言がなされました。ヨーロッパではこの宣言に続く動きが出ています。アメリカではトランプ政権のもとパリ協定脱退という温暖化対策と逆行する一方で、国内ではイーロン・マスクが掲げる再生可能エネルギー社会の実現のもとテスラ、ソーラーシティが急成長しています。それは環境意識の高い人がEV車や太陽光発電システムを支持している証であるからではないでしょうか。中国やインドにおいても急速な経済発展とともに、大気汚染は深刻で、環境の意識は高まってきています。
 日本においても今一度地域単位で環境のことを考えていくことが求められていると考えます。後世にこの美しい地球を残していくことこそが我々現代を生きる青年の義務であるのです。私たちができる環境対策は、岩国における市民意識を変えることであると考えます。JCでしか成しえない産業と環境の共存を模索して発信していくことで、地域コミュニティで出来るゴール13に貢献してまいります。

【国際共生の感性】

 近年、街を歩いていると外国人が以前と比べて増加したと感じることが多くなったのではないでしょうか。岩国においては米軍基地の移設によるものが起因していますが、この現象は岩国だけにとどまることではなく、日本のどの地域においても同様の現象が起こっています。労働人口減少の問題から多くの外国人労働者を研修生として受け入れて久しくありません。都市部にいくと10年前とは比べものにならないくらい外国人の労働者が増えたことを実感します。これから日本に住む限り多くの外国人と関わっていくことは避けては通ることができないのではないでしょうか。そこには多くの問題が発生する可能性があります。言語、文化、慣習、肌の色など様々な違いがあります。そんな中、我々はもちろん次世代を担うこどもたちには正しく認識してもらう必要があります。大陸国のように人の移動が簡単なアメリカや、中央アジア、欧州と違い、日本のような島国で植民地としての経験がない稀有な歴史を持つ国において多民族を受け入れることは難しく、苦手意識が強いと思います。また外国人だけではなく、障がい者やLGBT、価値観、男女差別、部落差別に対する社会の目も考えていかなくてはなりません。
 そのような概念を持たない、こどもの時に多様性を受け入れる感性を育むことこそが、これからの日本にとって大切であると考えます。異文化を受け入れるとともに自国のアイデンティティを発信していく力を養い、共に理解をし、世界の排他主義へと向かうイデオロギーを突き破ることができる人財を創ることで、共助の精神をコミュニティレベルで発信していきます。それが大きなうねりとなり世界が寛容に満ちた素晴らしい世界へと変わると信じています。岩国青年会議所は未来を切り開く国際人を創造することでダイバーシティを実現します。

【ひとと組織の成長】

 AIが全てを壊す。最近よく各紙面を賑わすワードの一つです。すべてがインターネットにつながるIOTでは、モノはネットで管理され、情報は瞬時にAIによって解析される。分析結果はAIによってロボットへ伝達され解決へ効率よく向かうでしょう。素晴らしき便利な世の中がもうそこまで来ています。という名のものに全ての産業は壊されていく。というのは幻想でしょうか。10年前と比べて世界の主要企業は大きく変わってしまいました。GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)の台頭で情報がすべてを飲み込もうとしているのです。しかし悲観する必要はないでしょう。単純な軽作業はロボットに取って代わられるでしょうが、それ以外はヒトを通すことで創造されるからです。人間にしかないコミュニケーション能力がこれからの産業を強くしてくれると考えるからです。そんな中でわたしたちはどのように企業を成長させていくことが重要になってくるでしょうか。私は2つの重要な要素があると考えます。ひとつはヒトにしかできないことに付加価値をつけていくことが必要となるでしょう。人財を育てていくことで新たな付加価値を創造することが求められてくるはずです。もう一つは強靭な組織を築くことが大切です。強靭な組織には明確なビジョンを持ったリーダーが必要です。社会課題を解決することのできる崇高なビジョンを持ったリーダーこそが人を引き付け、大きなミッションを成し遂げることができるのです。本年は来たるソサエティ5.0の研究を踏まえ雇用と産業を創造し続ける地域に必要とされる経営者としての学びの場を持つことで、経営環境の目まぐるしい変化に対応できる人財の育成に取り組み、勇気をもって行動できるリーダーと強固な組織を作るべく邁進いたします。

【真実を見極める】

 昨今、メディアリテラシーが叫ばれて久しくありません。我々は本当にメディアリテラシーを養えているでしょうか。テレビやラジオの従来のメディアは真実を伝えているでしょうか。広告主や世論の意向が反映された情報は決してフラットとはいえません。ひとつの方向から物事を判断してしまうことは大変リスクが高く脅威です。メディアは時に人の人生をも左右してしまうことを忘れてはいけません。情報を受け取る我々が俯瞰的に情報をとらえることで、その報道の裏にあるメディアの意図や心理をとらえ、鵜呑みにするのではなく自ら考えて解釈しければならないと考えます。新たに情報の中心になりつつあるSNSはそれ以上の脅威を若年層にもたらします。偏った思想をフェイクニュースとして発信することで、多くの若者がテロ組織の勧誘を受け、イスラム過激派組織に多くの若者が武装して参加しました。これはSNSがもたらした情報操作の脅威の最初の手口となりました。政治においてもTwitterにおける戦略で、当初圧倒的に劣勢とされていた、トランプ氏がSNSの活用により有権者を導き大統領となったのです。メディア操作の怖さは我々が考える以上の破壊力を持とうとしています。だからこそ常に流れてくる膨大な量の情報を自らの目で見極める必要があるのです。本年は情報とのかかわり方を考えます。どうすれば正しい知識をより多くとることができるかを真剣に考え、研究する機会を設け、発信していくことで、真実を見る目を養うJAYCEEを創造します。

【山口ブロック協議会の支援】

 山口ブロック協議会は47ブロックの先駆けとして1964年に全国初の協議会として誕生しました。そんな長きにわたる歴史の中で多くの会員の成長や学びの場を提供してきました。私自身も多くの出会いを通して、多くの先輩に成長の機会をいただきました。岩国青年会議所からは、2014年度以来、9人目となるブロック会長を輩出することとなりました。県内12LOMに対していかんなくリーダーシップを発揮していただけるように全メンバーによるバックアップが必要であると考えます。岩国青年会議所メンバーに対してもスケールメリットを十分に感じてもらえるように出向にも積極的にかかわっていきたいと考えます。
 それに加えて本年は山口大会の主幹を2007年以来受け持ちます。山口大会は山口県内で活動するメンバーの卒業を祝う場であり、多くのJCメンバーが岩国の地に一堂に会す山口ブロック協議会最大の事業であります。県内で活躍された卒業生が華々しい門出を迎えることができるように最大のおもてなしができるよういたします。岩国らしいおもてなしで心に残る大会になるように、メンバーの総力を決して創意工夫で成功に導きます。

【おわりに】

最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのではない。唯一生き残ることのできるのは、変化できる者である。

 ダーウィンの進化論での有名な言葉です。私はこの言葉と出会って以来、物事の変革について意識しています。人は変化を嫌います。それは変化するときは多くのエネルギーを使うからであるとともに、変化の先が見えないことへの不安が大きな原因であると考えます。変化するということは必ず賛否両論が起こります。そんな中私たちJAYCEEこそが変わることを恐れず大胆に事を興し、先んじて前を歩くことでリーダーシップをいかんなく発揮していくことが必要です。
 私が入会したときは失われた10年といわれていました。2008年にリーマンショックが起こり世界経済は壊滅的なダメージを受け、10年を経て少しずつ回復の兆しが見えてきたように思います。しかしながら次の10年に向けて大きな課題が山積してきていることも事実です。
 今こそ大きなビジョンを描き、課題に向けて真摯に取り組み、先陣を切ることの出来る強い志を持つことで、難局に立ち向かおう。先輩諸兄がされてきたように我々にも必ず乗り切れると信じて。

 2019年度、理事長を担うにあたり、多くの先輩に励まされ、お声をかけていただくことで勇気を頂きました。多くの出会いを通じて人と人のつながりこそ大切であると学び、成長の糧と感じることで、ここまでやってくることが出来ました。何度も挫折しそうなとき、仲間の存在の大切さを痛烈に感じました。私を育てていただいた岩国青年会議所に感謝をしながら大きなビジョンを掲げて、メンバーを導いて参ります。